追突事故の慰謝料

赤信号停止中に追突される事故は、自動ブレーキ付の自動車がかなり普及しているとはいえ、よくある事故類型のひとつです。
事故の原因としては、前をよく見ていなかった、よそ見をしていた、疲れていてぼーっとしていた、最近ではスマホに目をやっていて確認が遅れたなどがあります。

追突されると腰と首にダメージが来ます。腰椎捻挫や頚椎捻挫になることが多いです。どれくらいの衝撃を受けたかは、自動車の損傷具合も一つの参考材料となります。ただ、敏感な方は、あまり自動車が損傷していなくとも首や腰に痛みや不快感を強く訴えられることもあります。首が細かったり、高齢であったりすると被害が大きくなる場合があります。

むち打ち、腰椎捻挫だけの傷害の場合、早いと1か月で保険会社は治療費を打ち切ってくることがあります。それ以上に治療費が支払われる場合でも3か月がひとつの目安となっているようです。もっとも、重傷の場合は6か月、場合によってはそれ以上の期間治療費が支払われる場合もあります。保険会社から治療費の支払いが打ち切られそうな場合、治療期間を延ばすためには、保険会社に対しては痛みがあるが通院によって症状が快方に向かっている、改善してきていると訴えるとよいでしょう。治療を続けても症状が改善しなくなってきた状態が症状固定と呼ばれるものですので、改善の見込みがあればまた治療の必要性があるといえるからです。

傷害慰謝料は通院期間の長さによって計算されますが、大阪地裁の基準では、1か月通院した場合で18万円、3か月で48万円、6か月で80万円が目安となっています。これは週に2回程度、病院に通院することが前提となっていますので、通院回数があまりに少ないと交渉の段階ではこれより低い金額が提示されることもあり得ます。傷害慰謝料のことを考えると通院の必要性があることを前提として週に2回程度は通院するとよいでしょう。

単なるむち打ちの場合でも後遺障害等級がつくことがありますが、実務の経験上、12級がつくことはあまりなく、14級についても通院期間が最低でも6か月は必要となってきます。レントゲンやCTなどで異常がない場合でも神経学的検査などで自覚症状以外の検査結果がでていることが重要となってきます。